経済連携「IPEF」とは?
アメリカのバイデン大統領が提唱した新たな経済連携「IPEF」。
ニュースでもたびたび報道されていますが、
その具体的な内容を知る人は少ないと思います。
今回はそんな「IPEF」について詳しく解説していきます。
新たな経済連携「IPEF」
アメリカが主導する新たな経済連携「IPEF(アイペフ)=インド太平洋経済枠組み」
Indo-Pacific Economic Frameworkの頭文字をとったもの。
アメリカのバイデン大統領が2021年10月、
新たな経済連携の枠組みを立ち上げようと東アジア首脳会議で
提唱したのが始まりです。
IPEFの狙い(TPPとRCEPとの違い)
アメリカとしては、台頭する中国を念頭にインド太平洋地域への関与を
強めるねらいがあるとみられています。
この地域での経済の枠組みとしては、
TPPやRCEP=地域的な包括的経済連携という条約に基づく、
しっかりとした自由貿易協定があります。
しかしながら、TPPはアメリカが前のトランプ政権のときに離脱してしまったし、
RCEPにはアメリカはもとから入っていません。
TPPとRCEPはこちら↓


アメリカにとってアジアを含むインド太平洋地域は経済的な成長力もあるし、おおいに関与を強めたい地域なのです。
対して、中国は去年TPPに加入申請をし、RCEPも日本とともに主導しました。
このことから中国によるアジア地域での影響力の拡大を牽制したいのです。
具体的な内容
IPEFは4つの柱で構成されています。
1,デジタル経済を含む貿易(関税の引き下げは除く)
2,半導体などの供給網(サプライチェーンの強化)
3,質の高いインフラや脱炭素、クリーンエネルギー
4,公正な経済を促進するための税・汚職対策
参加する国は、4つの柱のなかで協力したい分野だけを
選ぶこともできるとされていて、柔軟な枠組みであることも特徴です。
関心ある国は1つでもいいから入ってねと優しく参加を呼びかけることで、
メンバーを増やしたいというのがアメリカの本音のようです。
日本政府の対応は?
日本政府は4つの柱すべてで参加する方針です。
経済連携の枠組みとしては、大きな経済効果は仮に期待できないものだとしても、
アジアを含むインド太平洋地域で同盟国アメリカが参加することは日本に
とっては大きな強みになります。
本当は日本にとってのベストシナリオは、アメリカがTPPに復帰することです。
なにせ、関税引き下げだけでなく、知的財産権の保護など貿易自由化のルールが
整っていて、法的拘束力もある強力な協定です。
中国と向き合うためには日米でTPPを主導していくことが理想なのですが、
さきほどもお伝えしたとおり、今のアメリカにはその余裕はありません。
それなら、日本としてはまずはアメリカが立ち上げるIPEFに
積極的に関与することで、経済連携で日米の連携を強化し、
時間をかけてアメリカのTPPへの復帰を促していく、
地ならしのような意味合いがあるようです。
他の参加国
具体的にはまだ明らかとなっていませんが、他の参加国として
ASEAN=東南アジア諸国連合の加盟国やインド、韓国、オーストラリアなどが
あげられます。
しかしながら、IPEFへの牽制の意味合いが強いため、中国と政治的、経済的な結びつきが強い国も少なくないため、各国がどのような判断をするのかは予断できないという不確定要素もあります。